
ったのです。当時の私はおそらく意味も解っていなかったと思います。
高校生になった頃、時々ふっと浮かぶこの思い出について、憤りを母に話した時、「そんな差のつけ方って、お兄ちゃんに対しても、私に対しても失礼やワ!」と、むきになる私に対し、母は「あんたって子は、今頃になって怒ってるの」と笑い、「私は、何とも情けなかったんよ」と……。
今私は19歳です。今の家に来て15年になります。幼い頃から多分、私は『育て易い子』ではなかったのではないか、と思います。
小学生の頃は“かわいそう!”と他人から言われると、自分が同情されているのが妙に嬉しくて、その“かわいそう!”を言われたくて、今のお母さんを“悪者”にしました。嘘の噂をふりまいて、お母さんが近所の人から非難されるように仕向けたりして、自分でも何と悪賢かったなアと思います。例えば、朝ぐずぐずしていて学校に遅刻した時、(本当はいじめる子がいたので登校したくなかったのです。)「お母さんは、私が家の用事を全部してからでないと学校に行かせてくれない」などと近所の人に言いふらしました。大人の「いやぁ、可哀想に」と同情してくれるのが、意味もわから
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